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03552/03552 PFG00017 半月城 国際化時代の教科書
( 7) 97/06/22 23:31 03478へのコメント
ともねこさん、久しぶりです。挺対協・尹さんの講演会のようすを知らせ
ていただきありがとうございました。
>この人たちは、実にまっとうな、人間的な、素朴な感性と思いをもって行動
>されているなあ、ということです。とても重い話題ですが、歓談の場は笑い
>が絶えず、私も久しぶりに大いに笑いました。
尹さんや西野瑠美子さんに共通する感性は、日本軍により想像を絶する苦
難の道を余儀なくされた女性たちに対する「人間的な思いやり」ではないかと
思います。
それに反し、「慰安婦」たちは日本軍にとってどうしても必要であったと、
あたかも軍需物資のように考えるのが「新しい歴史教科書をつくる会」の小林
よしのり氏などの意見のようです。小林氏には彼女たちも血の通った同じ人間
であるという発想は微塵も見られないようです。
それどころか、だまされてむりやり「慰安婦」にさせられた韓国人女性や、
暴力的に強制連行され「慰安婦」にさせられたフィリッピン女性を「売春婦」
呼ばわりするにいたっては、その人の人間性や人格を疑わざるを得ません。
前回、#3473に書いたように、フィリッピンの元「慰安婦」バルサリ
サさんは「慰安婦」は商行為であるとする発言に、「どんなに傷つけられ、怒
りを感じたことか。半年たっても忘れられるものではない」とその胸のうちを
語りましたが、このように元「慰安婦」をことさら辱しめる言動だけは許しが
たいと思います。
このような発言は日本にとってどれほどマイナスになっているか測りしれ
ません。こうした発言が続くかぎり、首相がどんなに謝罪しようが、また国民
基金がどんなに償い金を出そうが、心からアジアの人たちの理解を得ることは
困難なのではないかと思います。
しかも元「慰安婦」を辱める発言は、事実を十分把握せずに安易になされ
る場合が多いものです。かって「新しい歴史教科書をつくる会」の西尾幹二会
長は、吉見教授の代表的な著作「従軍慰安婦」すら読まずに「公娼」発言をし
ていることがテレビ討論で明らかになりましたが、同教授は歴史的事実につい
て知る努力をおろそかにしたまま、侵略者、加害者としての歴史を意識的に欠
落させているようです。
自国の歴史は、栄光の部分も暗い面もすべて現代の目で冷静に分析するの
が歴史学であると思うのですが、この点、外国では陰の部分をどのように扱っ
ているのでしょうか。その一例としてイギリスの場合を、駒込武・お茶の水大
学助教授が紹介していますのでここに引用します(「自由主義史観は私たちを
自由にするのか?」『世界』97年4月号)。
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大手出版社の一つハイネマン社の教科書「歴史の理解」では、中学校にあ
たる年齢の子供たちに対して「大英帝国」の歴史を次のように語っています。
「英国の支配者たちは、しばしば、地域の習慣、文化、宗教をほとんど尊
重しなかった。地域の態度を無視したことはインドでの反乱を引き起こした。
植民地での労働はしばしば搾取され、奴隷制は1833年まで続いた。土地は
奪われ、大量虐殺がときには起こった」
(鋒山泰弘「英国ナショナル・カリキュラムと歴史教科書」歴史教育者協議会
編『新しい歴史教育(5)』大月書店、1994年、49頁)
「大英帝国」による植民地支配の歴史について明確に批判的な観点を打ち
出した記述と言えるでしょう。もちろん、これは一つの例です。「大英帝国の
支配は開明的であり、他の帝国(もちろん「大日本帝国」を含みます)に支配
された民族よりも「大英帝国」支配下の諸民族ははるかに幸福であったという、
自己愛的な評価も根強く存在します。
しかし、旧植民地からの移民の増大と彼らへの人種差別的な対応への反省
に基づき、特に1970年代以降、学校教育における多文化主義を根付かせ、
それにふさわしい歴史叙述を創造する働きがねばり強く続けられてきてもいま
す。
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どうやらイギリスは自己愛的な歴史観から、国際化時代を迎え多文化主義
を念頭に置き、それにふさわしい歴史教育を目指しているようです。これは日
本の、近隣諸国との関係を重視した歴史教科書の検定基準と一脈通じるものが
あるかもしれません。
これに対し、西尾氏や藤岡氏など「新しい歴史教科書をつくる会」は「自
己悪逆史観」に反対するあまり、他国との歴史認識の共有などありえないと一
蹴していますが、これは国際化時代に逆行する考え方ではないでしょうか。
おわりに、ボーダレスに向かっているヨーロッパ・EUにおける教科書の
動向を紹介します。
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「EUにも歴史教科書問題」
読売新聞ニュース速報、1997.4.9
日本では新学期から、中学校の教科書に、「従軍慰安婦」という記述が初登場し、論
議を呼んでいる。統合が進む欧州では、「欧州共通の」歴史教科書を編もうという試み
に対し、画一的な“EU史観”の押し付けにつながるとの批判が上がるという、全く違
う教科書問題が起きている。(ブリュッセル 永田和男)
先駆的な存在がある。西欧とチェコの歴史学者十二人が四年をかけて編さん、九二年
に出版された「ヨーロッパの歴史」。教科書に採用された例はまだないものの、教養書
として読まれ、原本(仏語)は十三版を重ね、日本語を含む十三か国語に訳されている
。 過去幾多の戦火を交えてきた欧州では、歴史上の人物や出来事の評価の仕方や教え
方は、国や民族間で全く違ってしまいがちだ。
そこで、執筆者の一人、ベルギー・ブルージュの高校教諭、イグナス・マソン氏(5
4)によると、各執筆者が一章を担当、他の十一人が徹底的に批評し、一国の史観に偏
らない「公正な」内容にするよう努めた。
例えば、大航海時代の章。スペイン人学者が担当、「植民地支配の負の部分の記述が
足りない」との他執筆陣の指摘を受け、「征服者」が南米大陸の「文明の偉大さや神秘
を全く理解せず、破壊、略奪した」などの批判的記述が加わった。
逆に、ナポレオンの評価では、「スペイン侵略など否定的面が強調され過ぎている」
との意見を入れ、「強固な政治体制は通貨安定をもたらした」など業績も記し、バラン
スを取った。
欧州連合(EU)立法部門である欧州議会でもこの一月、EUとして、加盟国必修の
共通の教科書編さんを目指す決議案が出され、激しい討議の揚げ句、原案を、「必修」
から「推奨」に修正して、採択された。
決議案を提出したホセ・エスクデロ議員(スペイン国民党)は、「各国民が歴史に偏
見を抱いたままでは、欧州人としての意識は育たない」とし、学校では自国の歴史と平
行して、「欧州の歴史」を教えるべきだと、その意義を強調する。
これに反対したロイ・ペリー議員(英保守党)は、「歴史認識、特に英雄的人物を敬
う気持ちは、民族の重要な文化遺産」と指摘、「米国の画一的文明に対して、多様性こ
そ欧州文化の強みのはず」と主張する。各国の学者による共同編さんにも、客観性を追
求する余り妥協の産物に終わりかねないとして、懐疑的だ。
決議案は今後、EU文化・教育相理事会に諮られるため、実際に、EUの政策と決定
されるまでには、何年もかかりそうだ。
マソン氏は、「われわれの本は、独立した学者が自由に編さんしたから価値があった
」と、EUの歴史教育への介入には慎重だ。
そのマソン氏も、「偏見を取り除く」という点で、エスクデロ氏に共鳴する。
マソン氏は、「一国の歴史は欧州の歴史の、欧州の歴史は世界の歴史の一部に過ぎな
い、という考えに立てば、自国の過去のみを美化し、あるいは被害者意識を募らせるよ
うなナショナリズムが歴史研究、教育に入り込むべきでない」と、歴史教育を一国単位
で考えることの限界を指摘する。
「ヨーロッパの歴史」執筆に加わったことで、「地中海沿岸と中欧の学者では歴史へ
のアプローチが全然違うことも分かり、刺激を受けた」と、マソン氏。「今度は、昔の
鉄のカーテンの向こう側の学者たちとも共同作業ができたらよい」と、期待感をにじま
せた。
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http://www.han.org/a/half-moon/ (半月城通信)
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03618/03618 PFG00017 半月城 植民地時代の日本語教育
( 7) 97/06/30 00:23 03600へのコメント
ともねこさん、尹貞玉さん講演会の盛況さが手に取るようにわかりました。
> (講演会終了後のアンケ-トには、『前半から日本語で
>しゃべって欲しかった』という声がいくつかありましたが、私は、尹さんの
>さりげなく言った『日本語の授業の時、私はふまじめな生徒でしたので、こ
>んなにへたくそな日本語なんです』という言葉が胸にこたえました)
尹さんと同じようなせりふを、中国の江沢民国家主席が語っていました。
「日本軍国主義により6年間、日本語を強制的に勉強させられた。好きで日本
語を学んでいれば、今ずっと上手になっていただろうが、そうはならなかった。
これも中国人の心理を反映したものだ」(朝日新聞、1997.6.21)
一方、植民地支配や日本語教育について、元文部大臣の奧野誠亮氏はこう
語っています(「月刊国会ニュース」1995.4)。
「この間も言ったんだけれども、私たちは朝鮮支配なんて考えたこともあり
ませんと。私は当時役人だったんだが、朝鮮がよくなるように台湾がよくなる
ように、努力してきたもんですと。だから李さんは皇族の一員になったんだし、
重臣が華族になったですと。学校もどんどん設置し、京城帝国大学まで作った
んです。そして日本国になり日本人になったんだから、日本人と同じようにし
たければさせてあげようということで、日本流の「氏」を使い、名を使うなら
申請すればそのようにしてあげましょうとしたんです。
あるいは、日本語を学校で教えてあげましょうということにしたんであっ
て、別に母国語を禁止した訳ではありません。それに日本人になったからと、
衆議院議員の選挙権まで与えたじゃありませんか」
これに反論するのはたやすいことです。たとえば、実際は朝鮮では衆議院
議員選挙など行われたことはないのに、選挙権を与えたとか事実誤認もはなは
だしいものがあります。しかし、問題はこうした政治家の歴史認識が今でも語
られており、それが中国や韓国の憤激を招いて友好関係を阻害していることで
す。
先ほどの江主席は歴史認識について「第二次世界大戦を体験したが、中日
双方の政治家は歴史について人民によく認識してもらうことが大切だ」と、新
進党訪中団に述べましたが、よく認識してもらう必要があるのはこのような政
治家ではないでしょうか。
http://www.han.org/a/half-moon/ (半月城通信)
- FNETD MES( 7):情報集積 / 海外政策 97/06/30 -
03617/03618 PFG00017 半月城 RE:「謝罪という国際習慣はない」か?
( 7) 97/06/30 00:23 03594へのコメント
シェヴァイクさんの書き込みにより、東アジアのみならず、西欧諸国でも
国家による謝罪がかなりあることがはっきりしました。この具体例でこれまで
の議論にほぼ結論が出たようです。
#3594,
> 国家間の外交の一環として、過去の侵略戦争や
>国際法違反の非人道的行為について、国家が他の国家や団体に「謝罪」
>することは、欧米諸国においてもしばしば見受けられることです。
私が#2691で紹介した、コロンビア大学・レドヤード教授は「東アジ
ア以外では、謝罪という国際慣習は存在しない。欧米の国々は、戦争をして殺
し合い、そのうえで講和を結んで一件落着。すべて法の問題として処理される。
人々は許し、忘れ、そして生きていく」と語っていましたが、シェヴァイクさ
んが調べた実例などを考えると、同教授の説は主として第一次、二次世界大戦
以前の話ではないかと思っています
大ざっぱにいえば、19世紀までの古典的戦争では、戦闘はほぼ軍隊同士
の戦いに終始しました。そのうえ戦争処理は、古典的国際法に基づく講和で片
付き、レドヤード教授のいうように一件落着したのではないかと思います。
しかし、二度にわたる世界大戦は各国とも総力戦となり、その被害は軍隊
構成員のみならず、広範な無辜の人びとの生命・財産にもおよびました。その
ため国家の損害よりも個々の人びとの損害がはるかに上回り、取り返しのつか
ない苦しみを個人に与えました。それと同時に、おびただしい残虐行為がくり
返され、ナチスによるホロコーストなど重大な人権侵害が頻発しました。
その反省から国際的に特に人権を重視するようになり、個人の権利や尊厳、
自由などの概念が競って各国の憲法に取り入れられました。同時に国際社会で
は世界人権宣言が採択され、人権を認めることが自由、正義、平和の基礎であ
るとされました。
ちなみに世界人権宣言の前文は、「人類社会のすべての構成員の固有の尊
厳と、平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、
正義および平和の基礎である。・・・人権の無視と軽侮とは、人類の良心を踏
みにじった野蛮行為を生じしめ」たと指摘しています。
こうように世界的な人権意識の高揚が、シェヴァイクさんが紹介されたよ
うな謝罪の具体例を生み出したのではないかと思います。
http://www.han.org/a/half-moon/ (半月城通信)
文書名:[aml 5496] RE:ドイツの戦没者遺族年金について
Message-Id: <970701001227.01C1C213.0777302@muj.biglobe.ne.jp>
Date: Tue Jul 1 00:12:27 1997
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